ダイナミックSIMSによる高感度 元素分析

SIMS(二次イオン質量分析法)の現状

SIMSにはダイナミックSIMSとTOF-SIMS(スタティックSIMS)の分析手法があります。

TOF-SIMS(スタティックSIMS):

一定量以下のイオンビームを試料に照射し放出された二次イオンをTOF(Time Of Flight)方式で取得し質量分析します。 高分子などの分子構造をある程度保ったまま計測することが出来ます(マス・フラグメント)。 一方、TOF方式で計測するため一次イオンビームはパルス化する必要があります。それによって試料表面上に存在する有機物の元素や分子情報を捉えることを得意としております。

ダイナミックSIMS:

一定量以上のイオンビームを連続的に試料に照射し放出された二次イオンを質量分析計で取得し計測します。 一次イオンビームには化学的に活性なセシウム、酸素を利用し、元素の深さ方向分析や2次元/3次元イメージング、同位体の元素分析(主として無機材料)を得意としております。 また、連続イオンビーム照射による計測のため、TOF-SIMSと比較して、分析に要する時間が大幅に短くなります。
主に磁場型、四重極型の2種類のSIMS装置が利用されます。

このようにSIMSには用途に応じて2種類の分析手法がありますが、近年では改良した一次イオンガンやスパッタイオンガンをTOF-SIMSに利用することで、ダイナミックSIMSの用途としての 深さ方向の分析に利用されるケースが多くなっております。 しかし、一次イオンビーム量が圧倒的に少ないパルスビームを使ったTOF-SIMSによる質量分析では元素の検出感度が絶対的に不足しており、無機物に対しては十分な分析ができません。 このような高感度な分析はダイナミックSIMSによってこそ実現が可能です。

ここではダイナミックSIMSの世界最大のプロバイダーであるCAMECA社が販売している代表的なダイナミックSIMS装置の特長、分析事例をご紹介いたします。

ダイナミックSIMSの特長

ダイナミックSIMSとTOF-SIMSの性能比較

この図にあるように、ダイナミックSIMSでは、高感度な元素の深さプロファイルやイメージング、更には高精度な同位体比を目的とした分析が可能です。 一方、元素の検出感度が不足しているTOF-SIMSの手法ではこれらの分析に限界があります。

カメカが提供する主なダイナミックSIMS装置

アメテック　カメカは非常に高い検出感度を備えたIMS 7f-Autoと高い検出感度及び空間分解能を両立したNanoSIMS 50Lを提供しております。

      

      

他にも機能を特化した幾つかの装置ラインアップがございます。カメカ社が提供するSIMS装置のラインアップはこちら

ダイナミックSIMS 事例

利用されている分野

さまざまな分野でダイナミックSIMSは利用されております。

 

3次元マッピング：鉄鋼中の水素

一般的な元素分析手法で局所的に水素を分析できるのはダイナミックSIMSだけです。

 

ドーパント中の局所分析の例

局所領域での高感度なドーパント分析が可能

導入企業・教育機関・研究所

NTTアドバンステクノロジ(株)、(株)コベルコ科研、(株)SUMCO、SUMCO　TECHXIV(株)、シャープ(株)、昭和電工(株)、信越半導体(株)、セイコーエプソン(株)、ソニー(株)、ソニーセミコンダクタ(株)、(株)デンソー、東芝ナノアナリシス(株)、(株)東レリサーチセンター、豊田合成(株)、トヨタ自動車(株)、日亜化学工業(株)、パナソニック(株)、(株)富士通研究所、富士電機ホールディングス(株)、三菱電機(株)、ルネサスエレクトロニクス(株)

東京大学、京都大学、東北大学、近畿大学、岡山大学、九州大学、熊本大学、東京理科大学、名古屋工業大学、北海道大学、東北大学金属材料研究所、東京大学大気海洋研究所

海洋研究開発機構、材料科学技術振興財団、産業技術総合研究所、日本原子力研究開発機構、物質・材料研究機構、
若狭湾エネルギー研究センター

ダイナミックSIMSに関するお問い合わせ

ダイナミックSIMSにご興味を持たれたお客様はお気軽にお問合せください。 その他数々のダイナミックSIMSによる分析事例も
ご紹介可能です。 また、お客様が現在抱えておられる課題の解決に向けて、弊社が提携している受託分析機関もご紹介いたします。